2025/08/23 08:49

夏になると、赤く熟れたトマトが食卓に並ぶ機会も増えます。
冷蔵庫で冷やして、キリッとした爽やかさを楽しむ──そんな食べ方も魅力的ですが、実はトマトを冷蔵庫に長く入れておくと「甘み」や「香り」が失われてしまうことをご存じでしょうか。
◯トマトはなぜ冷蔵庫が苦手なのか
トマトは南米が原産の野菜。
暖かい気候で育つため、低温には弱い性質を持っています。
冷蔵庫(5℃前後)の環境に長く置いてしまうと、トマトの中にある「香りや甘みをつくる酵素」の働きが鈍ってしまい、本来の風味が消えてしまうのです。
たとえば、完熟したトマトを冷蔵庫に入れて3日ほど置くだけで、香り成分が3割ほど減るとも言われています。
つまり、トマト本来の「太陽の味」が、冷気によって眠らされてしまうのです。
◯ トマトを長持ちさせるちょっとした工夫
「じゃあ夏にトマトはどうやって保存すればいいの?」という疑問が浮かびますよね。
おすすめは 常温保存。
ただし、直射日光が当たる場所は避け、風通しの良い涼しい場所に置くのがポイントです。
そして、トマトのヘタを下にして置くと、果実の水分が抜けにくくなり、鮮度が保ちやすくなります。
もし完熟して食べきれない場合は、数日だけ冷蔵庫に避難させても大丈夫です。そのときは、食べる30分ほど前に冷蔵庫から出して常温に戻すと、風味がよみがえります。
◯ 食卓の小さな物語
冷蔵庫にしまうかどうか──そんな些細なことにも、野菜の背景にある“物語”が隠れています。
太陽の下でゆっくり熟したトマト。農家さんが朝露の中で収穫してくれたトマト。
そのおいしさを守れるかどうかは、私たちのちょっとした工夫にかかっているのです。
食卓にのぼるトマト一つひとつに、畑からのストーリーがあります。
今日のサラダを口に運ぶとき、その物語を少しだけ思い浮かべてみてください。